従来の占星術においては、天体を見るとき「良い天体(吉星)」「悪い天体(凶星)」という区別をしがちですが、心理占星術においては各天体を心理的機能として捉えるのが主流で、吉凶という分け方はしません。
出生図内の各天体を心理的機能として捉える場合、天体のそれぞれが独特なポジティブ感情を味わわせてくれるという考えも理にかなっています。
以下の簡易表をご覧下さい:
天体 | 天体の発するポジティブ感情 |
太陽 | 誇り、自己表現 |
月 | (月サインによる)最重要な欲求の充足 |
水星 | 好奇心、興味 |
金星 | 快楽、調和、平和 |
火星 | 活力 |
木星 | 報酬への期待 |
土星 | コントロール(統御) |
天王星 | 革新、自由 |
海王星 | 感動、インスピレーション |
冥王星 | 再生、影響力 |
心理的充足には全ての天体が必要不可欠
上記の天体の内どれか一つでも不機能状態になると、人は不満を抱える事になります。いくつか例を挙げてみましょう:
- 火星(活力)が不調だと、無気力さやけん怠感がもとでモチベーションの維持が困難になりがちです。
- 木星の「報酬への期待」とは即ち「より良い未来を信じる事」です。木星の心理的機能が上手く働かない場合、「どうせ良い事は起こらない」という感覚を覚えてうつ状態に陥ることさえあります。
- 土星の「必要なコントロール」とは即ち自分や状況を統御する力です。この力なしには人生の舵取りが困難になり、被害者意識が強まったり、目標達成のための集中が難しくなったりしがちです。
- 海王星がおろそかになると、夢やインスピレーションの追求が途絶えてしまい、「人生、こんなものだったっけ?」といった虚しさを覚える危険性があります。
- 冥王星の機能が働かないと、カタルシスや心の切り替えが困難になり、過去の重荷を引きずったまま生きる事になるかもしれません。
重度のアスペクト緊張と天体の機能
まず覚えておくべきなのは 、出生図内の状態に関わらず、全ての天体は正常に機能する事が出来るという事です。天体が重度の緊張下にある場合、その天体がポジティブな機能を果たすために必要な成長過程が示されていると考える事ができます。
ペレグリン天体は活動過多になりがち
天体がペレグリン状態(他天体とメジャーアスペクトを形成しない)の場合、その天体の機能がオーバーなほど活発になる可能性があります。例えばペレグリン水星は知性の活動過多により、興味や好奇心の度を超して分析過剰や慢性的な不安となって表現される場合もあります。
逆行天体に必要な努力
逆行状態の天体は、直接的な表現が難しくなりがちです。その天体に関するポジティブ感情を活用するためには意識的な努力が必要になるかもしれません。例えば木星逆行を持つ人は、前向きな姿勢を保つために「意識して明るい未来を思い描く」練習が必要になるかもしれない、という具合です。
ホロスコープは、心の満足度の診断ツール
上記の簡易表を見て、「このポジティブ感情、しばらく感じた事がないな」というものがある方は要チェックです。何故そのポジティブ感情を自然に経験・活用しにくいのか、出生図の中に手がかりが隠されているかもしれません。
長期トランジット(土星から冥王星)による緊張を受けている天体がある場合、その天体と関わるポジティブ感情が突然感じにくくなったり、感情の質が変化したり、といった事があるかもしれません。
もし情緒的障害が存在する場合、意識して働きかける事で、求めるポジティブ感情を再び活性化させる事ができるかもしれません。例えば、火星は運動によって活性化し、木星は「感謝」や「信じる気持ち」を通じて再浮上する事が可能になります。
こうした見方で観察すると、あなたの出生図は「心の満足度」の診断ツールとして役立ってくれると思いませんか。
photo: Werner Kunz
この記事を拝見し、とても嬉しく想いました。
西洋占星術を初めて学んだ他で3ヶ月間の通信講座では、
胸がときめくほど楽しくて仕方がなかったのですが、
出生図のハードなアスペクトの解釈が固定化されており、
幾らトランジットやプログレス天体によって、明るい兆しが見えようとも、
それ以上でも以下でもないという解釈に半ば希望を失いかけていたところでした。
一方で、ハードゆえの困難がありながらも、
その天体が光る時はくるのではないかという思いもあったのです。
新里先生のノエルティル心理占星術によって、私の疑問が晴れ、
また占星術への意欲が心の底から湧き上がってくるのを感じています。
占星術にまた希望が抱けて嬉しいです。ありがとうございます。
オンライン講座で、これからもワクワクしながら習得したいと思っています。
Reikoさんこちらのコメントも有難うございます。占星術界におけるノエルティル先生の大きな貢献の一つに「成長のための緊張」という考え方があるのですが、この考え方が現代占星術から「ハードアスペクト=悪いもの」という迷信を払拭し、より現実的に捉える事を可能にしました。占星術に再び希望を抱けた、というのは私がティル先生の考え方に出会った時に感じた感情と似ています。ぜひ、今後も楽しんで学んでいってください。