第10ハウスと【天職】
出生図の頂にある第10ハウス(10室)は【仕事と社会的地位】を示すと考えられています。心理占星術においては、個人の持つ欲求や才能を踏まえた【適職】そして【天職】という概念を重視します。
多くの場合、人が適職や天職を発見する道のりには 、従来のキャリアアップの概念とは違う何かが存在します。10ハウスと他のハウスの相互関係を考えてみると、新たな気付きがあるかもしれません。
10ハウスと1ハウスの関係
1ハウス【自我】は個人の欲求と才能の焦点であり、「自分らしさ」や「自分のやりたい事」を表しています。(故に1ハウスの月は「我が道を行く」タイプで、仕事にも独立性を求めると言われています。)
10ハウス【仕事】と1ハウス【自我】の緊張関係(90度)は、「やりたい仕事」を見つけるのに「自我の成長」が必要とされる事を示唆しています。
10ハウスと4ハウスの関係
10ハウスと180度を形成する4ハウス【家】は、人生の出発点である初期家庭の環境を表しています。
10ハウス【仕事】と4ハウス【家庭環境】の相対は、子供の頃に親から受けた教えや行動パターンが仕事に与える強い影響を示しています。良い影響とそうでない影響の両方について考えてみてはいかがでしょう。
10ハウスと7ハウスの関係
7ハウス【人間関係】は他人の自我と欲求の焦点であり、他人の集合である【世間・公衆】の欲求についても表しています。(7ハウス内の月は公衆を相手にする仕事、又はパートナーと行うビジネスなどを示すと言われています。)
10ハウス【仕事】と7ハウス【世間】の緊張関係(90度)は、顧客や世間の要求に応えるのに必要な「プロフェッショナルとしての成長」を表すと同時に、「プロとして譲れない一線」を見つける必要性も示しています。
第1ハウスから第10ハウスへ:生涯をかけて行う仕事
1ハウスから10ハウスまでの流れを象徴的に見ると、こう考えることができます:
1ハウスから6ハウスにかけて、コミュニケーションや自己表現の才能を磨き、自己理解を深めて成長を遂げた【自我】が、7ハウスで【他人・公衆】の欲求について初めてはっきりと意識する。
8ハウスで人の【死】を経験し、自分自身の生が限られている事も悟る。
9ハウスでより大きな社会に触れる事で世界観を拡張、人生哲学を発達させる。
10ハウスで行う仕事はこれらの経験を経た個人が、「どのようにして社会に貢献するか」について出した結論であると考える事ができます。
天職とは単なる仕事ではなく、そして自分のやりたい事だけを追求するわけでもない。
自分独特の人生経験を通じて学んだことを、人や世間のために活かせる仕事。
出生図の第10ハウスは、「生涯をかけて行える仕事とは何か」という問いに対して、今の私たちが出せる精一杯の答を生きる場所なのかもしれません。
関連記事:その他のハウス