第8ハウス:相手の自己価値や健康と関わる経験
従来の占星術では【死に関する事柄、遺産、借金】などを表すとされてきた第8ハウス。第7ハウスから数えて2番目のハウスである8ハウスは、【パートナーの持つ資産、結婚相手との共同資産】などの意味も持っています。心理占星術においては8ハウスを相手の自己価値や健康に関わる経験領域であると考えます。医師や心理カウンセラーならびに占い師なども含め、人の健康や精神的幸福に関わる仕事をする方のホロスコープでは、8ハウスが強調されている事がよくあるのです。
第2ハウスと第8ハウス:自分の自己価値と相手の自己価値の相対
第8ハウス【相手の価値観】は必ず第2ハウス【自分の価値観】と相対しています。この両者の緊張関係(180度)は、「私たちが関わる相手の価値観と自尊心は、常に私達自身の価値観や自尊心に影響している」という真実を表しています。
第2ハウスや第8ハウスが緊張下にある場合、自分と相手の「価値」の相対に不安を感じる傾向が強まるかもしれません。つまり、必要以上に人と自分を比較する傾向が現れてくる可能性があるのです。比較の結果、自分にないものを持つ相手に嫉妬したり、またはそれを理由に自分を卑下してしまうというのも、おそらく誰もが一度は経験する感情でしょう。
8ハウスの緊張は、自分を傷つけるだけでは終わらず、場合によっては相手を批判する傾向として現れる事もあります。相手を批判するという行為は、心理的優位を確立する欲求が原因であるという見方があります。「自分が正しく、相手が間違っている」と信じる事で、一時的に2ハウスと8ハウスのバランスが取れるわけです(家族内または国家間の争いなどを観察してみましょう)。
上記のいずれの形を取るにせよ、8ハウスの緊張は、人間関係をぎくしゃくしたものに変えてしまう危険性があるという事が伺えますね。
第8ハウスの問題の改善:相手の賞賛
自分や相手の「批判」という不幸な螺旋をストップするには、正反対の習慣を身につけていく必要があります。実は、相手を賞賛して、認めてあげるという行為は、相手の自己価値を認めて強化すると共に、鏡合わせである自分自身の自己価値も強化する効果があるのです。
「8ハウスに緊張を抱えた人は、褒める事が苦手である場合が多い」とノエル・ティルが指摘した事があります。人を褒めるにはある程度の自信が必要だと言う事ですね。
服装であれ、才能であれ、相手の価値ある所を即座に見つけて、褒めてあげられる人というのは、周囲から見ても自信たっぷりで魅力的に見えます。毎日必ず誰かを褒めるというシンプルな習慣を身につけるだけで、上向きのポジティブな螺旋が始まる事でしょう。
第8ハウス:健康と癒しの循環
マッサージセラピストや心理カウンセラーなど、相手の心身の健康に直接関わる仕事をされている方は、「癒す事で、自分自身も癒される」という経験をされる事が多く有ります。相手に与えたものが、自分にも返ってくるという循環が想像できますね。
「批判」という不幸の循環に対して、「賞賛」という幸福の循環がある。
自尊心を傷つける事なしに、人の自尊心を傷つける事はできない。
人を賞賛するという行為は、自分自身を尊敬する行為である。
第2ハウスと第8ハウスの相対を理解すればするほど、「癒しの循環」を始める必要性を感じるのです。
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Photo: Roman Betik