子育て占星術

子供のホロスコープから学べること

もくじ

    子育て占星術:子供の出生図が示唆する欲求と人格

    身近な関係に、ある程度の摩擦や緊張はつきものです。

    親子の関係も例外ではなく、時には我が子といえど「何を考えているのかわからない」「私と全然似てない」といった感覚を覚えることがあるかもしれません。

    子育て中の親が子供のホロスコープを知ることには、こうした感覚の裏にある「根本的な人格の違い」について客観的に理解するという意義があります。

    本記事では特に小さな子ども、または未成年の子供のホロスコープに焦点をあてて考えていきます。

    月星座が示す子育てのコツ

    月星座の表す重要な欲求については本サイトでもかなり書いてきました。月は根本的な情緒的欲求をも表しますから、子供にとって大切な親からの愛情」や「安心できる家庭環境を求める欲求は、どの月星座であっても該当します。

    子供のホロスコープにおいては、極端に抑圧されない限り、月サインの「欲求」が素直に表現されることが多いといえるでしょう。特に小さな子供の月星座の欲求を充足させてあげることができれば、情緒的に安定した育ち方をすることが期待できます。

    ここでは、子供の月星座がどのような欲求として現れるのか、そして子育ての上でどのように接していくべきか、という事について考えていきます:

    牡羊座の月の子供【一番で有りたい欲求・エネルギーを発散する欲求】は、独立して行えること自由に動き回れる空間を必要とするでしょう。親や教師としては「どこまで自由にさせて、どこでブレーキをかけるべきか」というのが重要な質問となっていきます。

    牡牛座の月の子供【現状を保つ欲求】は、明確なパターンや習慣を持つ生活環境に安心感を覚えるでしょう。新たな習慣を身につける事に抵抗を示す可能性があるので、新しい食事・学校・習い事などを始める時に注意して見てあげると良いかもしれません。

    双子座の月の子供【コミュニケーションを行う欲求】は生活に「多様さ」と「他者との会話」を求めるでしょう。本を読んだり、物語を聞かせたり、普通にお話したりといった行動が自信につながります。

    蟹座の月の子供【家庭における安心を求める欲求】は特に親からの愛情と保護を必要とします。小さい子供が外の新たな環境に行くのを不安がる場合、家から「安心できるもの」(毛布・ぬいぐるみ等)を持っていくと良いかもしれません。

    獅子座の月の子供【愛され讃えられる欲求】は注目を集めることで安心感を覚えるでしょう。小さい内は安全な、安心できる形でこの欲求を満たしてあげることが必要です。

    乙女座の月の子供【正確さを求める欲求】は秩序正しい環境に安心を感じるはずです。清掃の行き届いた家や、きちんと片付いた部屋などが理想の環境かもしれません。食べものに関しても敏感さを示す可能性があります。

    天秤座の月の子供【人からの人気や評価を求める欲求】にとっては友人関係(親との関係も含めて)が重要になります。人と過ごすことで安心感を覚えるはずです。「誰かと一緒なら出来る」というパターンで新たな活動にチャレンジしていくことができるでしょう。

    蠍座の月の子供【強く正しく意義深い存在として認められたい欲求】は母親との深い絆によって安心感を覚えるでしょう。強く深い感情を持つ子供なので、周囲の大人の持つネガティブな感情に深く影響を受ける可能性があります。

    射手座の月の子供【意見を尊重される欲求】は知性と世界観の拡張を促す学習や活動を必要とします。射手座には運動好きという側面もあるので、動き回れる空間が必要です。勉強やその他の学びを楽しく行うことができれば、自信と安心につながるでしょう。

    山羊座の月の子供【物事を実現させる欲求】にとっては規則正しい生活が安心感をもたらします。家庭や社会のルールについて学ぶことで上手に機能できるでしょう。

    水瓶座の月の子供【社会的に重要な存在で有りたい欲求】は知性を刺激する活動を必要とします。母親との精神的な絆が強ければ強いほど、逆に独立して行動することができるでしょう。

    魚座の月の子供【感じて共感する欲求】は母親への強い愛着を示す可能性があります。魚座の月の子供が感じる母親と「一つになりたい」という欲求は、保育園や学校に行く時の母親との別れを難しいものにします。大きくなるにつれ、こうした強い愛着を他の人にも示すようになるかもしれません。

    月ハウスは子供が「興味・安心」を感じる領域

    ハウスは人生における経験領域を示します。子供の活動は「家庭」や「学校」などの環境に制限されがちですが、その中でどのような経験が成長や安心につながるのか、という視点で解釈していきます。

    1ハウスの月の子供人間関係における自己主張】は「人と過ごす」ことと、「自分に注意を集めること」が必要になります。これが自己中心的な傾向となるかどうかは、環境や周囲の大人の言動によるかもしれません。情緒的ストレスが健康問題に発展する可能性もあります。

    2ハウスの月の子供自己価値の強化】が必要とするのは「自信をつけること」だと言えます。成長途上で自分の持つ「才能」や「良いところ」を自覚して伸ばしていくと自信につながるでしょう。この配置では自分の「持ちもの」が自己価値に重要な意義を持つようになる可能性があります。これは、人や持ち物への「所有欲」という現れ方をするかもしれません。

    3ハウスの月の子供コミュニケーションによる成長】にとっては人との会話や交流を持つことが非常に重要になります。

    4ハウスの月の子供家庭・家族における安心】は家庭と家族から受ける愛情や安心感を強く必要とします。家族で毎年行う行事(旅行やお祝いなど)や、家族内の慣習に強い愛着を示すようになるかもしれません。

    5ハウスの月の子供楽しみ・遊びを通じた成長】は見世物やパフォーマンスを好み、自分でも人を笑わせたり、楽しませる才能を見せるかもしれません。この子供は「遊び」や「創造性の発揮」の機会を多く必要とします。

    6ハウスの月の子供生活習慣を通じた成長】は食事や環境の好き嫌いが激しいかもしれません。自分の体や健康に気をつける習慣や、部屋の掃除・整頓などの習慣をつけさせると自信に繋がるでしょう。

    7ハウスの月の子供人間関係における成長】は人との繋がりを必要とします。社交的な活動が良い経験となるでしょう。

    8ハウスの月の子供深い愛着と、秘密の知識の追求】は非常に強い好奇心や、自分の持ち物や感情に強く執着する傾向を見せるかもしれません。自分だけの「秘密」(の場所・知識)を持つことも許されるべきでしょう。その「秘密」を親友に打ち明けることで強い信頼関係を築くことができます。

    9ハウスの月の子供精神と世界観の拡張】にとっては旅行や読書などが重要な経験となります。世界観の一部として人生哲学やスピリチュアルな考え方に触れるのも有意義です。

    10ハウスの月の子供社会的役割を果たす事による成長】は周囲からの認識や尊敬を必要とします。何かに取り組み成功する機会を与えてあげるべきでしょう。また、自分や人への礼儀・尊敬の念を持つことを教えるのも有意義です。小さい頃から、将来やりたい事の目標をはっきり持っていることもあるかもしれません。

    11ハウスの月の子供友人達と、未来の目標を持つ事による成長】は友人たちと過ごすこと、そして目標を立てて達成するという経験を必要とします。

    12ハウスの月の子供【隠れた資質の発見を通じた成長は「夢」を持つこと、そして想像力と創造性を発達させる経験を必要とします。

     

    月へのアスペクトと母親との関係

    子供のホロスコープにおいて月は「母親」の象徴です。月へのハードアスペクト(0・90・180度)は母親との関係において存在する摩擦や緊張を反映することが多いと言えます。

    ここでは、特に重要だと思われる月へのアスペクトについて軽く紹介します。それぞれの配置が示唆する子育て上の「落とし穴」や、母子関係を改善するためのアプローチも紹介していきます。

     

    冥王星と月のアスペクトの大きなテーマは「強烈な感情のコントロール」です。ハードアスペクトにおいては、母親との関係は、子供の自由な感情表現を許さないものである可能性があります。

    母親がこのアスペクトを持つ子供をサポートしてあげたい場合は、「今、どのような感情を感じているのか」伝えられるように教えてあげるのも有意義です。「悲しさ」「怒り」「恐れ」などの感情を自分で認識して伝えられるようになれば、より自分の感情をコントロールできるようになるでしょう。最善の現れ方を可能にするには、共感力と情緒的洞察力を備えた母親が必要です。

     

    海王星と月のアスペクトのテーマは「特別な感性と繊細さの活用」です。ハードアスペクトにおいては、母親が子供の特別な感性を理解できず、上手にサポートできない可能性があります。

    このアスペクトを持つ子供は周囲の大人の感情に非常に敏感になりがちなので、平和な環境を必要とします。自分の内面に豊かな想像の世界を持っていることがほとんどなので、これを否定せずに、想像力と創造性を発揮する道を与えてあげると良いでしょう。

     

    天王星と月のアスペクトのテーマは「個性と独立性の発達」です。緊張のアスペクトがある場合、母親との関係は不規則で不安をかきたてるものになる可能性があります。

    おそらくこの子供は「人とは違う」という感覚を持っており、実際に変わった行動を取ることも考えられます。自分で考えて行動して良いということ、そして人と違っていても大丈夫、というメッセージを与えることができれば良いサポートになるでしょう。

     

    土星と月のアスペクトのテーマは「情緒的な成熟」です。ハードアスペクトの場合、母親との関係は温かみや愛情表現に欠けたものである、と感じて育つ可能性があります。母親が仕事などの責任を持ち忙しすぎる、というケースも多いでしょう。

    このアスペクトを持つ子供は大人びた態度を示すかもしれませんが、それでも普通の子供と同様に、親からの愛情とサポートを必要としています。情緒的なフラストレーションは抑うつ状態に繋がる危険さえあるので注意が必要ですが、ある程度サポートが得られれば安定します。

    この子供の情緒的安定に役立つもう一つの要因は「与えられた責任を果たす」習慣をつけることです。任せられた責任を果たすことは自信につながりますし、そこで感謝されたり褒められたりすることもポジティブな経験です。

     

    火星と月のアスペクトのテーマは「闘争欲求の活用」です。ハードアスペクトの場合、母親を怒らせたり家庭内でケンカが起こるよう仕向ける事さえ考えられます。

    このアスペクトを持つ子供を上手にサポートするには、持ち前の闘争本能をどのように活用させるかを考える必要があります。何かに挑戦させることでエネルギーを向ける対象ができれば、家庭内における闘争は少なくなるかもしれません。

     

    子育て占星術:子供の出生図から学べること

    本記事では「月」という一つの象徴に絞って考えて見ましたが、これだけでも子育てに占星術が活用できることが感じとれるのではないでしょうか。

    子供のホロスコープが示唆する資質や欲求について知ることは、普段と別の視点で子供を見ることを可能にします。

    子供の取る不可解な行動も、もしかすると単に「わがまま」なのではなく、親とは違う「欲求」の現れなのかもしれません。

    子供の出生図をより深く理解することで、「子供へのより強い共感」が可能になれば、親子にとって非常に有意義ですね。

     

    新里ひろき
    新里ひろき

    アメリカ・フロリダ州在住の心理占星家。西洋占星術界の重鎮ノエル・ティルに師事。氏の難解で有名なマスターズ占星術認証コースを最優秀の成績で卒業。日本と英語圏の両方で個人セッションとノエルティル流心理占星術の講師として活動中。

    この記事へのコメント

    1. TOMOKO より:

      こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいております。

      さそり座の月の息子がおりますが、未婚の出産という状況もあり、私とのとても深い感情的な繋がりを感じています。ネガティブなものには、深く身体に影響するほどです。

      他にも土星と月のハードアスペクトの子供たちもおり、すごく参考になりました。
      彼らの素質を理解して、ベストなかかわり方できるように、愛情注いて育んでいきたいと思います。

      とても興味深い記事をありがとうございました!

      1. 新里ひろき より:

        TOMOKOさん コメントありがとうございます! お役に立てて頂ければ大変光栄です。

    2. ルナ より:

      ひろき先生
      こんにちわ。
      いつも丁寧に教えて下さる記事大切に読ませていただいています。
      昨日、月星座のことを考えていました。
      自分・兄弟・友人・娘の幼かったころの感情表現や机の上の整理整頓の仕方、どこに安心感を持つかについて思い当たるところがありました。
      月の持つアスペクトはある意味一時的ショックを受けますが
      子供のころの自分にこうしてもらえたらよかったね。と話しかけ、目の前にいる大人にもそのような子供を内在する人と理解して話しかけられる自分でいたいと感じました。

      1. 新里ひろき より:

        ルナさん コメントありがとうございます。

        そう、プロの占星家としては「大人の中に内在する子供」について理解する、というのがこの話題の重要な側面ですね。良い着眼点です!

        1. ルナ より:

          お返事ありがとうございます。

    3. ともすけ より:

      いつも興味深く拝見し、勉強させていただいてます。私は天秤座で12ハウスの月が冥王星とほとんどぴったり同じ位置にあります。 (そのうえ火星はノード軸とスクエアです)今はもう何とも思いませんが、若いころは母を殺したいくらい憎んでいて、ずっと過食症でした。幼いころからおっとりして八方美人の私に母はイライラしてたようです。ずっと前、ニューヨークの占星家が来日したとき見ていただき、あなたにはとても強いところがある、母親に対する怒りや憎しみの感情、卵巣が悪いのはあなたの母親への感情からくるもの、(月と冥王星の合)、前世で母親に借りを作ったから、それを返さなければならない宿命、と言われました。星の配置を自分の意思でコントロールするのはなかなか大変なものですね。以前アメリカの占星術の本に、星の配置は遺伝することがある、と書いてありました。母と妹は獅子座の月、父と私は天秤座の月です。確かに性格的に妹は母と、私は父と似てると言われますし、自分でもそう思います。新里先生のご意見聞かせていただければと思います。長文、失礼いたしました。

      1. 新里ひろき より:

        ともすけさん こんにちは。親子間の星の配置の繋がりというのはよくあります。そして、親から子へと受け継がれるパターンというのもあります。

        特に意見すべき点というのは見当たりませんが、もし親子関係からくる現在の人生への影響に関するお話などをご希望の場合は、個人セッションのご利用も有意義だと思いますのでご一考ください。

        1. ともすけ より:

          長文すみませんでした。やはり親子間で星の配置の繋がりはあるのですね。今は特に悩みはありませんが、今後はセッションも考えてみたいと思います。お忙しい中、早々にご返信どうもありがとうございました。引き続き楽しく読ませていただきます!

    4. まいこ より:

      ノード軸との火星や土星以降のハードアスペクトと、月とのハードアスペクトはどちらも同じように母親との関係性を現していると考えて良いですか?
      例えばノード軸スクエア土星、月スクエア土星は同じニュアンスと捉えていいですか?
      まだ赤ちゃんの娘ですが、ノード軸と月どちらにも土星とスクエアです。
      土星ハードの意味が強調されているという意味になりますか?
      母親との関係性を見る時、月、ノード軸、それぞれに違うニュアンスはありますか?
      オンライン講座では、ノード軸の方がメインで習った気がしましたが、
      ニュアンスの違いがあったら教えてください。

      1. 新里ひろき より:

        まいこさん 仰っている見方でだいたい良いですが、それでも若干ニュアンスの違いはあると感じます。ノード軸へのアスペクトはその天体に関する母親からの影響、と考えることが多いですが、月へのアスペクトは母親との関係性について表す、という見方ができます。似ていますが、ちょっと違うので、検証を続けて行くと良いと思います。

    5. ゆうゆう より:

      月と土星がハードアスペクトの娘を、母親としてどう育てたらよいのか調べていて、こちらの記事に辿り着きました。

      「月と土星がハードだと、母親が子供を抑圧する」と、様々な占星術家さんの記事で拝見して、どうにも納得出来ませんでした。

      私は月牡羊座・太陽双子座で、他人も自分も極力自由にさせたがる性質だし、
      娘は月魚座・太陽射手座で、愛情を求めつつも束縛を嫌う性質。

      このコンビだと、土星先生の厳しさをくらう要素がイマイチ無いような??と思っていたのですが、
      先生の記事を読んで、やっと、「これだ!!」と。

      私が仕事にばかりかまけて、娘の相手をおざなりにしてしまい、愛情不足で健やかな成長を阻害する危険性があったんですね。。。!

      これ、すごく分かるんです。
      私は仕事大好き人間で、まだ1歳の娘のお世話を片手間に、在宅業務に没頭したりしてました。
      大反省です、、、。

      本当に大切な事に気付けました。
      ひと事、御礼申し上げたくてコメントさせて頂きました。
      長文、失礼いたしました。
      これからも記事を参考にさせて頂きます!^^

      1. 新里ひろき より:

        ゆうゆうさん

        コメント有り難うございます! ご息女と接する際のヒントになりそうですね。

    6. こな より:

      はじめまして!
      太陽水瓶座、月牡羊座
      月水星90
      水星冥王星0
      月土星180
      月冥王星90
      の一人息子を育てています!
      太陽、月共に牡牛座の母です。

      この星座と角度を見ただけでも、かなり私が威圧感ありますよね…
      いろいろ気になって、口出ししてしまいます…
      そして、小学4年生なのですが、集団の中になかなか入れてもらえずおどおどしてる息子を心配してます!
      すんなりみんなの中にはいっていけないみたいで、公園でも声かけても入れてもらえなかったら周りをうろうろ…
      水瓶座なので、周りの目を気にしてしまうのはある程度仕方ないし一人遊びが得意ではないかなと思いますが、あまりにもおどおどしてるので、心配になります!
      また、友達にひどいことを言われても自分の気持ちは、言えてないみたいで、言われっぱなし…
      月と水星の90が関係してるのかなと思いますが、そんなときは親はどんな返しがいいのかな?と疑問に思います。
      また、月土星180で私からの圧力みたいなのがあると思います!
      水瓶座と牡牛座は90なのでわかりあえないことがたくさんあります。
      ホロスコープを独学で学んで一年くらいですが、できるだけ口をださずにとはおもってますが、どこまで、好きにさせたらいいのかも謎です!

      ブログなどでは、子供は子供の人生なので好きにさせたほうがいいと言われても、この子の重荷になってると知った以上気になって気になって…
      ぐるぐる考えて混乱してます。
      どういう気持ちで子育てをしたらいいでしょうか?

      長々とすみません!
      もし、目に留まっていただければお返事お待ちしてます!

      1. 新里ひろき より:

        こなさん お母さんとの関係性以外にもお話するべき部分があるのかもしれません。こうした大事なお話に関しては個人セッションのご利用をご一考くださいませ。

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