金星土星アスペクト

金星と土星のアスペクト:美と愛情の追求

もくじ

    本記事の概要

    金星と土星の意味するもの

    金星は美・愛情・金銭を司る天体です。心理占星術において、出生図の金星の配置は「人間関係(恋愛・結婚生活・ビジネス)の充実に必要なもの」について教えてくれます。

    人は、心の中の「金星の部分」がしっかり機能している時、人付き合いを楽しむことができ、社会における自分の立場や魅力にも自信が持てます。逆に金星が不機能の場合は、孤独で殺伐とした気持ちになってきます。

    土星は抑制・遅れ・成熟を司る天体です。心理占星術において、ホロスコープの土星の配置は「成功のために必要な抑制と成熟」について示してくれます。

    自分の中の「土星の部分」が上手く機能している人は、経験を活かして実力を伸ばし、やがて目標の達成に繋げることができます。土星が不機能の場合、経験を自信につなげることができず、不満足な日常の繰り返しに陥ってしまう可能性があります。

    出生図の金星と土星がアスペクト(0度・60度・90度・120度・180度)を形成する時、この両天体の様々な組み合わせが人生においても現れてきます。本記事では特に金星の持つ「人間関係」と「美」の側面に注目してみます。

    金星土星アスペクトと人間関係

    金星と土星の0度・90度・180度:「情緒の抑制」

    出生図内の金星土星のアスペクト(特に0度・90度・180度)はよく「情緒の抑制」と解釈されます。それは、自由な愛情表現をする事へのためらいや不器用さ、または感情表現そのものを抑える傾向、と考えることができます。

    当然こうした傾向は人間関係にも影響するため、金星と土星のアスペクトは「恋愛下手」と誤解する人が多くいます。しかし、仮にこうした傾向が自分にあったとしても、「何故、感情を抑えるようになってしまったのか」と自問することで、新たな洞察に繋がることもあります。

    例えば、極めて無口で感情表現の乏しい父親の下で育った女の子は、父親という男性から、必要な「愛情表現」を得られないまま大人になります。もし、母親も同じく感情表現の苦手な女性だったとしたら、どうなるでしょう。

    子供には、健全な愛情表現の見本を示してくれる大人が必要です。こうした見本が得られない場合(または「悪い見本」しか存在しなかった場合)、「親密な相手にどう愛情表現すれば良いのかわからない」と感じることが多く、極端な場合「自分が何を感じているのかもよくわからない」、という状態になる事さえあります。

    実際の家庭環境は勿論、人それぞれですが、「情緒の抑制」というのは9割方、家庭環境を通じて学んだ傾向で、持って生まれた性格ではない、ということを理解することが変化の鍵になるかもしれません。

    金星と土星アスペクト:「経験を通じて成熟する愛情表現」

    出生図の金星の配置が「人間関係の充実に必要なもの」を示す、という言葉に戻りましょう。金星土星アスペクトの場合、恋愛やその他の人間関係の充実に必要なのは「経験と成熟」であると考える事ができます。

    成熟し世慣れた男女には、独特の自信と魅力があります。彼らが発しているのは、「社会において成功している」自信のオーラであり、また「自分の事を知り、受け入れている」魅力でもあります。金星土星アスペクトを持つ人は、成熟・成長を重ねるにつれ人気や人心を集めて行く傾向があるようです。

    では、どのような経験が人格の成熟につながるのでしょう?

    恋愛やその他の人間関係における経験は、初期家庭の環境が育んだ悪習慣を認識し、改善するチャンスを生みます。例えば、前述の、感情表現の極めて乏しい家庭に育った女性は、友人や恋人との付き合いを通じて、やがて「私も、もっと自分の心を素直に表現して生きて良いのではないか」とか、相手の怒りや悲しみなどの感情表現を見て「私にも、こういう感情を感じることが許されているのだ」といった気づきを得るかもしれません。

    実際の成長パターンは人それぞれなので、必要な気付きにも個人差があります。ともあれ、こうした洞察を通じて自分をより深く知ることが人格の変化と成熟につながり、それが恋愛や人間関係を楽にしてくれるということ。とてもシンプルに聞こえますが、実際には年月を要するプロセスです。

    金星と土星のアスペクトと美の追求

    土星は「現実」の象徴です。「大人としての成熟」の要素の一つは、現実社会における成功、つまり目標を実現させる実力と自信でもあります。

    金星の象徴する「美・金銭」という要素と土星の「現実主義」が出会う時、当然「美・金銭に関する目標の実現」というテーマが重要になってきます。ですから、金星土星アスペクトは、成功している起業家やビジネスマンにもよく見られる配置です。

    宝石、芸術品や美しい家。金銭的な成功が金星の司る「美しいもの」を手に入れるチャンスにつながる事を考えると、「美・金銭」の繋がりがはっきりしてきます。

    さらに、金星の司るのは物質的な「美」だけではありません。芸術・福祉的・宗教的な「美と理想の追求」といった現れ方をする場合もあります。

    作曲家や建築家は、頭の中で構築した「美しいアイデア」を「現実」にする仕事です。福祉や慈善活動に勤しむ人は、心に描く「美しい世界」の理想を実現するために自らの経験とノウハウを活用します。

    同じ金星土星アスペクトにも、様々な実現の仕方があることが伺えますね。このアスペクトを出生図に持つ方は、自分の目標とする「美・理想」のかたちをはっきり見据える事によって、仕事への情熱が倍増するかもしれません。

    まとめ:美と愛情に必要な成熟

    遅れや成熟、つまり「時間の経過」を象徴する土星と、愛情や美的表現からくる喜びを示す金星の組み合わせは、実はとても自然なものです。

    例えば、芸術活動をする人たちは、年月をかけて上達すればするほど、自分の才能をより強く発揮する喜びが深まります。

    同じく、人間関係においても、年月をかけて信頼関係を築いていくことで、お互いと付き合う喜びが深まっていきます。

    金星土星アスペクトをお持ちの方は、仕
    事や友人、恋愛のパートナーを選ぶ際に、こう考えて見ると良いかもしれません:

    「人生で、本当に大切なものは

    時間をかけて深めていく価値のあるものだ」

    長期的視点と、

    年月をかけて一つの何かを深めていく姿勢。

    金星と土星の組み合わせは、

    アスペクトの種類に関係なく、

    堅実な「美と愛情の追求」に

    恩恵を与えてくれるのです。

    新里ひろき
    新里ひろき

    アメリカ・フロリダ州在住の心理占星家。西洋占星術界の重鎮ノエル・ティルに師事。氏の難解で有名なマスターズ占星術認証コースを最優秀の成績で卒業。日本と英語圏の両方で個人セッションとノエルティル流心理占星術の講師として活動中。

    この記事へのコメント

    1. まいこ より:

      こんにちは!金星と土星がトラインだと、自分と年の離れた相手と縁があるのでしょうか。私の妹は、獅子座金星と牡羊座土星がトラインです。叔母は射手座金星と牡羊座土星がトラインです。二人の共通点は、自分より8歳から10歳ぐらい離れた男性と結婚して、叔母も38ぐらいで、妹も40歳で未亡人になりました。叔母の若い頃は知りませんが、妹は確かに同年代の男の子より年上男性に関心があったようです。叔母も妹も細かい手芸など手先が器用です。

      1. 新里ひろき より:

        まいこさん こんにちは。金星と土星のアスペクトをお持ちの方が、「成熟した相手との関係を必要とする」と考えると、年上の相手を選ぶというのも理にかなっていますね。ただし必然的なものではなく、可能な現れ方の一つとして考えましょう。

    2. たかはしじ より:

      こんばんは!
      金星土星スクエアなので、この記事待ってました(≧▽≦)
      若い頃は恋愛で辛い思いばっかりで、人間関係もいつもうまくいかなくて、自分はダメなんだとずーっと思って生きてきました。

      まだ自分で占星術を勉強し始める前にみてもらった占い師の方に、「この配置は女性としてはものすごく損なのよね~。反応が薄いから男にはつまらないと思われてるよ」と言われたのがショックで、でもしっくりして納得できて、落ち込んで色々なものを恨んでみたり、でも何とかならないんだろうか…と必死で探したりしてました。

      持って生まれた性格ではない、というところ、すごく救われます…。
      年齢を重ねるのも怖くなくなるというか、むしろはげみになります。
      新里先生の占星術はいつも前向きになれるので、大好きです。
      ありがとうございます。
      これからも学んでいきます!

      1. 新里ひろき より:

        たかはしじさん こんにちは!コメントありがとうございます。そう言っていただけて、光栄です。

    3. てすてす より:

      新里先生、こんばんは!
      出生図のアスペクトはトランジットにも有効でしょうか?
      いま出生図の射手座Ascにトランジットの土星と金星が0度なんです。
      10歳以上離れた年上男性との出逢いが多く、皆さんから良い影響を受けています。

      最近は、ある芸術家に触発され、著書を何冊も読んでいます。(書物=射手座でしょうか?)
      あとから知ったのですが、作品はたいへん緻密で、美を追究された方だったようです。

      新里先生のブログはとても分かりやすくて、ノートにまとめながら学ばせて頂いています。
      なんといっても、ネガティブにとらえがちな外惑星をポジティブな解釈でとらえていただきありがたいです。
      これからもブログ更新を楽しみにしております!

      1. 新里ひろき より:

        てすてすさん こんにちは。金星のトランジットは2,3日で終わってしまうのでほとんど気づかずに過ぎていくことが多いでしょうが、土星がアセンダント軸を通過中、というのが大きいのかもしれませんね。土星がアセンダントの反対のディセンダント(7ハウスカスプ)に接触中だから年上の相手との出会いにつながる、という現れ方も理にかなっています。

    4. 冬の星座 より:

      はじめまして、いつも興味深く読ませていただいております。

      金星土星のアスペクトについて謎が出てきたので書かせてください。

      私は月金星土星のグランドトラインがあります。実際地味な性格ですがひそかに嬉しくもありました。
      ですがハーフサムを去年知り、金星土星の制愛軸といものがあるのを知りました。やってみるど当然私の月はヒットするわけで。
      制愛軸といものがあまり良くないものなのに、良いものとされるグランドトラインと重なった結果になってしまうのはなぜなのでしょうか。
      しかもエバーティン先生は金星/土星=月は腎臓病、などと記述されているようで。悲しいです。

      1. 新里ひろき より:

        冬の星座さん はじめまして、コメントありがとうございます。

        グランドトラインというのは古い占星術では「トラインが3つで、トラインは良いものだから幸運」と言う感じで考えられているのですが、現代心理占星術においてはもっと複雑な意味を持っています。そもそもトラインだから吉、スクエア・オポジションだから凶、という考え方は現代ではもう廃れています。

        エバーティンの解釈は70年以上前、第2次世界対戦の時代のもので、その当時の社会哲学に少なからず影響を受けていますから、はっきりいって憂鬱な解釈が多くなります(腎臓病などといった解釈もまずあてになりません)。そして「制愛軸」などといった名前は日本人の占星術家が後からつけたものです。

        つまり、古い本などに書いてある解釈にはこういった背景があるので、そのまま真に受けない方が良いということです。本当に勉強するのならば金星や土星の意味、ミッドポイントの解釈の仕方、アスペクトの解釈などからしっかりと勉強したほうが自分の力でホロスコープを理解できるようになります。興味がおありなら、オンライン講座の第一部をお試しください。

    5. 冬の星座 より:

      新里先生、お忙しい中ご返答ありがとうございます。
      わかりやすく丁寧なご説明をいただき感動しております。

      グランドトラインを突破するにはグランドクロスがあると良いと聞いた事があるのですがやはりそういうものなのですね。(まだまだ不勉強ですが)
      ノエルティル先生の解釈
      月/土星=金星 もう一度やり直す優美さ
      金星/土星=月 おそらく孤独感や無価値観からくる心の痛み
      月/金星=土星 感情の強固さ
      などの記載をみつけました。(ネイタルのことではないかもしれませんが)
      これを自分なりに解釈すると新里先生のおっしゃる
      「人生で、本当に大切なものは時間をかけて深めていく価値のあるものだ」
      というお考えが心に染みます。
      何度失敗してもやり直す!というイメージです。
      少しオーブがありますが土星のオポジションに水星がありカイトになります。
      それのグラトラでたぶんmc軸があるので、土星のグラトラを生かせればと思います。
      現代の占星術と言う学問が進んで昔よりポジティブな解釈になると、がんばろう!という気持ちになれて嬉しいです。
      (海王星のグラトラをお持ちの方もおられますもんね。)

      今現在は忙しくオンライン講座を受講するのは難しいのですが落ち着いたら是非学んでみたいと思います。
      稚拙な質問、稚拙な解釈で長々申し訳ありませんでした。
      また引き続きブログを読むのを楽しみにしております。
      ありがとうございました。

    6. moon より:

      初めてコメントします

      金星と土星が90度の私です。
      土星の周期がおよそ30年
      実は30年前に出逢ったおつきあいして別れた方とまた30年経って再会し以前とは同じ形ではないのですがおつきあいが始まっています。常に距離も離れているしお互いに抑圧された環境におかれているにも関わらず交際が続けられています。
      それぞれの人生を歩んでいるのに関わらず何か不思議な縁を、感じています。もしかしたらお互い元気に90歳を迎える事が出来たならば一緒に死をもって結ばれてみようかしら?とも思っています。
      土星と金星な、アスペクトは人智を超えた魂の成熟をも意味するものかも知れませんね。

      1. 新里ひろき より:

        moonさん コメントありがとうございます。

        土星の、新たな周期と共に再開する関係。確かに不思議なご縁がありそうですね。

    7. はな より:

      こんにちは。
      金星、土星のソフトアスペクトがあります。
      やや複雑な家庭環境の為、自分の意志や自由と、家族を守りたい気持ちの間で葛藤することが多い人生でした。

      「人生で、本当に大切なものは
      時間をかけて深めていく価値のあるものだ……」
      という文章に、
      なぜだか心底ほっとしました。

      ありがとうございました。

      1. 新里ひろき より:

        はなさん コメントありがとうございます。

        時間をかけて深める美や関係というのは、ソフトアスペクトでも活用できそうな資質ですね。

    8. モモ より:

      自分のホロスコープを調べていたら、
      先生の所に辿りつきました。

      金星と土星でおポジです。
      また木星と土星もおポジ
      海王星もまた土星とおポジ
      金星蠍座、土星牡牛座です…
      逆に私は一回りほどの年下の人と
      どうやら御縁があるようで…
      色々自分をコントロール出来ず悩みます。

      辛い現状から抜けるには
      どんな所に意識をすれば良いのでしょうか…

      1. 新里ひろき より:

        モモさん 始めまして。 辛い現状を作り出している心理的背景があると思われます。真面目なお話をご希望な場合は、個人セッションのご利用をご検討いただければ幸いです。

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