2025年前半は、火星のエネルギーが非常に活性化する時期です。古典占星術では火星は「凶星」と呼ばれており、戦争や暴力の象徴として恐れられてきました。しかし実際は人生において、火星の持つ緊張のエネルギーは目標の達成に不可欠です。
人生では、火星の象徴する「勇気の必要な行動」を取るべき瞬間が必ずやってきます。今年前半は特にそういう時期だと思えるので、出生図の火星を最大限に活かす方法について考えてみます。
火星が持つ「狩人」の側面
心理占星術では、すべての天体は私たちの内面にある心理的な機能を表しています。火星は「狩人」としての役割を持ち、「欲しいものを手に入れるための行動力」を象徴します。この視点から見ると、火星の配置は「どのように」狩りをするか、つまり目標を達成するための特有のスタイルを教えてくれます。
火星のサイン別「狩りのスタイル」
例として、火星が以下のサインに位置する場合を考えてみましょう:
- 双子座の火星:「巧みなコミュニケーション能力」を駆使して、情報や対話を通じて望みを叶える。
- 獅子座の火星:「劇的な自己表現」を通じて注目を集め、目指す結果を得る。
- 蠍座の火星:「求めるものについて深く知ること」で、その本質に迫りながら目標を達成する。
火星のエレメントによる行動スタイル
火星が位置するサインのエレメント(火、地、風、水)によって、「狩り」の仕方にも大きな違いが現れます:
- 火のエレメント(牡羊座・獅子座・射手座):大胆さと積極性が鍵。直感に従い、勢いよく行動して成果を手にします。
- 地のエレメント(牡牛座・乙女座・山羊座):堅実さと計画性を重視。細部まで状況を把握し、着実に行動することで成功を収めます。
- 風のエレメント(双子座・天秤座・水瓶座):知性や社交性を駆使して行動。言葉やネットワークを活用して目標を追求します。
- 水のエレメント(蟹座・蠍座・魚座):感情や直感を基盤とした行動が特徴。繊細な洞察力や共感力を活かして成果を引き寄せます。
出生図の火星が示す、自分にあった「狩りのスタイル」を活用すると、よりしっくり来るかたちで目標を達成できるかもしれません。
「狩る側、狩られる側」どちらも火星
火星には「狩る側」のエネルギーが象徴されると書きましたが、自然界では「闘争か逃走」の選択が常に行われています。オオカミがシカを追う場面を想像してみてください。どちらも全力疾走で動き、火星のエネルギーを燃やしているのです。火星は「狩る側」としてだけでなく、「狩られる側」としてもその力を発揮します。
人間社会における「狩る」と「狩られる」
人間社会では、火星のエネルギーが次のように表現されることがあります:
- 「狩る側」:自分の望む目標に向けて行動すること。積極的に目的を追いかけ、自分の意思で進む姿勢を象徴します。
- 「狩られる側」:嫌な状況から「逃げる」行動や、責任やプレッシャーに「追われる」体験を表します。火星のエネルギーは、この場合でも必要不可欠です。
「狩られる側」の火星:逃げることも重要な行動
社会では、時には全力で逃げることが必要な場合もあります。例えば、セクハラやパワハラといった危険な状況において、火星のエネルギーを使って勇気を出し、逃げたり助けを求める行動が求められます。逃げたり助けを求めることを諦めると「犠牲者」になってしまいます。
「追われる」側の火星
仕事や責任に「追われる」時も、火星のエネルギーを使って乗り切る必要があります。この状況が一時的なものであれば、一気にエネルギーを燃やして成果を上げることにつながるかもしれません。
ただし、「いつも追われている」と感じる場合には、次の問いを投げかけてみましょう:
- 自分が本当に追いかけたい目標は何だろう?
- この状況は自分の成長に役立っているだろうか?
「追う側」「狩る側」に回る方が効果的
火星のエネルギーを活用するには、「狩られる・追われる側」にとどまるだけではなく、「狩る側」「追う側」に回る方が効果的です。狙いを定めて目標を設定し、自分から積極的に行動を起こすことで、モチベーションが上がり、より充実感のある人生を歩むことができるでしょう。
火星のエネルギーは「使ったもの勝ち」
天体のエネルギーはなくなることはありません。そのため、出生図に示された火星のエネルギーを使わない人は、他の誰かにそのエネルギーを使われてしまう可能性があります。火星のエネルギーをどのように活用するかが、自分の人生の主導権を握る鍵となるのです。
火星を「狩人」から「兵士」にしてしまう例
例えば、明確な目標を持たずに仕事をしている場合、その人の火星エネルギーは会社や上司の目標達成のために使われます。この場合、火星は「狩人」ではなく「兵士」のように表現されます。
兵士は、自分の意志ではなく組織の命令に従って行動する存在です。一方、明確な目標を持つ人は、会社の中であっても自分で考え、積極的に行動できるため、「狩人」としての火星のエネルギーを活用することができます。
火星エネルギーを他人に奪われるパターン
自己主張ができない場合や他人に流されやすい性格の場合、その人の火星エネルギーは周囲の「押しの強い」人々によって使われてしまいます。具体的には:
- 誰かの頼みごとを断れない
- 他人の望みを優先して行動してしまう
こうした状況では、自分のためではなく他人の目標のために火星のエネルギーを消耗することになります。
火星エネルギーを象徴する人物を引き寄せる
火星のエネルギーに含まれる「怒り」や「対立」を恐れて、自分では一切表現しない人は、無意識のうちに火星を象徴する人物を周囲に引き寄せることが多いです。
例えば、
- ポジティブな火星:有能なリーダーや指導者など
- ネガティブな火星:横暴な上司や攻撃的な同僚など
前者なら良い影響を受けるかもしれませんが、後者の場合は火星の望ましくないエネルギーに振り回される可能性が高くなります。
「使ったもの勝ち」の火星エネルギー
「ビジネスは早いもの勝ち」という言葉がありますが、火星のエネルギーも同じです。「使ったもの勝ち」のこのエネルギーを自分のために活用するには、次のポイントを押さえることが重要です:
- 自分の目標を明確にする
- その目標に向けて積極的に行動する
- 自己主張する習慣を身につける
出生図の火星のハウス
出生図の火星のハウス配置は、「火星のエネルギーが必要になる領域」を表しています。狩人のイメージでいうと、火星の位置するハウスは、ジャングルのようなもの。たくさんの獲物がいるけど、強い猛獣も潜んでいるので、生き延びるためには技術と経験と、危険を判断する能力も必要です。時には、生きるために逃げて力を蓄え、再び挑戦することも必要になりそうです。
1ハウスの火星
1ハウスは自己像や自己表現のスタイルを形成する領域。目標を定めて集中し、行動できる「狩人」のようなアイデンティティが重要になります。おそらく油断できない環境に身を置かれることが多いので、「自分は狩るだけでなく、狩られる可能性もある」という認識で生きると、必要なスキルを高めるための集中力が研ぎ澄まされます。
2ハウスの火星
2ハウスは金銭と自己価値に関する領域。自信を持つためには勇敢な行動で力を示し、成果を挙げることが必要です。ここでの「狩り」とは経済的な安定や自己価値の向上を目指す行動かもしれません。時には失敗しながら、成功するための力と経験を積んでいきます。
3ハウスの火星
3ハウスは学習、考え方、話し方の領域。コミュニケーション能力を駆使して目標を達成します。この領域では知識や説得力が武器になりますが、「意見の対立」が起こることもあり、それも会話のスキルを磨く機会になるでしょう。「言うべきことを言う勇気」が必要で、それを諦めると「自分の声」を見失ってしまいます。
4ハウスの火星
4ハウスは家庭や、心理的ルーツを示す領域。自分の感情や心の奥底を深く理解することが目標の達成に繋がります。「自分を見つめる」のは一見遠回りに見えるかもしれませんが、内面的な洞察を深めることが、長期的な成功を支える基盤となります。自分の心に無関心でいると、抑圧された感情が家庭内の争いとして表現されることがあります。
5ハウスの火星
5ハウスはクリエイティブな自己表現や、愛情表現に関するハウス。自分の気持ちやアイデアを表現することで、時には批判や拒絶を受けるかもしれません。それでも勇気を持って表現する手段やスキルを磨くことで、望む結果を得ることができます。
6ハウスの火星
6ハウスは仕事やスキルに関する領域。実務的なスキルを向上させ、効果的な行動を取ることで、自分の価値を高めることができます。スキルを高めるには人から教わることが重要なので、積極的に教えを乞う姿勢が何よりも大切です。目的を明確にして動いていかないと、火星のエネルギーが別のかたち(横暴な上司や、同僚か客とのいざこざなど)で表現されてしまいがちです。
7ハウスの火星
7ハウスは人間関係やパートナーシップに関する領域。火星が7ハウスにある場合、「共通の目的のために協力できるパートナー」や、「競い合うライバル」のような関係も含むかもしれません。また、人間関係において犠牲にならないために、自分の意見や望みを主張する勇気やスキルを身につける必要があります。火星を自分で使わないと、周りの人に火星エネルギーを使われるというパターンが顕著になりそうです。
8ハウスの火星
8ハウスは心身の癒やし、深い感情、セクシュアリティに関する領域。何らかのトラウマを持つ場合は、勇気を持って心理的な洞察を深めていくことで癒やしていくことができます。8ハウスは相手との性的関係に関する領域でもあるので、不用意に傷つけたり傷つけられたりすることを避けるためにも、心理的な成熟度を高めていく必要があります。
9ハウスの火星
9ハウスは哲学・宗教、国際的な体験、教育などに関する領域。自分の精神的な部分を深く広く発達させていくことで人生の意味や意義を見出すことができ、それを人に伝えることも可能になります。自分とは異なる様々な考え方に出会うでしょうが、無自覚に他者に迎合せずに、真実と思えるものを追求していく勇気が、目標の達成に繋がります。
10ハウスの火星
10ハウスはキャリアや社会的立場に関する領域。10ハウスの火星を持つ人は、おそらく高い能力を要求される環境にいるので、仕事やビジネスの成功のために全力で技術、経験、集中力を注ぐ必要があります。勇敢に自分の立場や目標を表明することで、批判を受けることもあるでしょうが、賛同してくれる人たちも得られるはずです。
11ハウスの火星
11ハウスは友人たち、未来の夢や目標などを表す領域。共に同じ目標のために協力できる仲間を見つけることが、11ハウスの火星の一番お勧めの表現方法です。狩人のイメージで言うと、集団で大きな獲物を仕留めにいく感じです。明確な目標を持たない友人関係やグループでは、価値観の対立が起こりがちです。
12ハウスの火星
12ハウスは無意識や隠された事柄に関する領域。狩人のイメージでいうと「姿を隠した敵や獲物」を見つけて仕留める必要があります。ただし、「隠れた敵」は自分自身の中にいることも多く、例えば抑圧された怒りやフラストレーションが、無謀な言動に繋がったりしていることもあります。瞑想などで、積極的に自らの内面に目を向ける行為が有効になります。また、強い感情をクリエイティブな活動(芸術や音楽など)を通じて表現してみるというのもお勧めです。
まとめ:出生図の火星を活かす方法
出生図の火星のエネルギーは、厳しい世界で生き残り、成功するために不可欠です。出生図の火星の配置を知ることで、自分らしい火星の活用法を模索することができます。
例えば私個人の火星は蠍座、8ハウスにあり、天王星とコンジャンクションしています。心理学、心理療法といった蠍座・8ハウス的事柄と、占星術(天王星)という学問を統合させて表現しているのが反映されています。
皆さんも、改めてご自分の火星を見直してみて、どのように表現されているのか考えてみてはいかがでしょうか。ご自身の火星に関する経験について、思い当たる方はコメント欄でシェアしていただければと思います。